pH7

金曜の事務室はなんだかいつも平和な空気が流れてて、
そんな中、地味な作業をしている時、
A型とO型の〜って聞こえて振り返ると、
総務課の課長と血液センターのおじさん。
目がばっちり合ってしまって、自分どうや、ってことになってしまった。
血液センターのおっちゃん、
あたしの都合を聞く間もなく献血を受ける方向でいくつかの質疑応答。
誰も助け舟なんて出してくれるわけもなく(冷たいほどの見て見ぬふり)、
しどろもどろに答えてゆくあたし。
結局、図書館からはあたしだけで、
そんなまぬけなあたしは、
赤十字が描かれた、ボタンを押せばサイレンがまわりだしそうな車の後部座席に乗せられて、
いざ血液センターへ。
とてもさびれた感じで、ますます情けない気持ちになってきたけど、
ぽつぽつと献血を受ける人々がやってきた。
受付カウンターの横にはふんだんなお菓子や景品が並んでいる。
仕事を抜けてなんでこんなところにいるんやろという疑問が常にまとわりついたまま着々と作業は進められてゆく。
字を書くのにたいそう時間がかかるリタイアしかけのおじいちゃん医師に問診と血圧測定を受ける。
「学生さんですか」と聞かれる。
思いっきり生年月日書いてあるのに。
両腕とも血管が細いらしくて針刺すのに時間がかかった。
あ、選択の余地もなく成分献血
時間がかかるから、ロビーにある飲み物やお菓子を取ってきてくださいね、と言われたけど、
片腕は針が刺さってるし満足に飲み食いできないじゃないか。
でもまわりの人たちを見てみると、
ちゃっかりマンガまで読んでたりするし。
あたしは仕方なく、ろくに音声も聞き取れないテレビをぼーっと見つめるはめに。
血流が悪いうえに手が冷たかったから、
初めてで緊張してるんやね、と言われる。
単に寒かっただけやねんけど。
40分ほどかかって献血終わり。
抜き取られた自分の血小板(多分)を見て、素直にびっくりした。
おしっこみたいな液体だった。
景品は、ラップ、石けん、ビデオテープ(なぜに?)、歯みがきセット、などなど。
で、いちばん使えそうな歯みがきセットを頂いた。

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後から冷静に考えてみると、
この日のあたしの行為は、
もしかすると(しなくても)誰かの命を救っているのかもしれないのよね。
おーすごい。
献血を受けた状況があんなだったから、
なんともみじめな気分でいたけど、
胸はってりゃいいんだよな。